アンドロメダ座の物語
2025年10月1日0時頃のさいたま市の南の星空
秋の星空は神話の世界です。
アンドロメダは古代エチオピア王国のケフェウス王と王妃カシオペアの一人娘です。
彼女のお母さんである王妃カシオペヤは大変なうぬぼれやで、自慢話がやめられず、ある時、
『海の神ポセイドンの孫娘たちより私たち親子の方がず〜っと美しいわ』と言ってしまったのです。
これを聞いて怒ったポセイドンは、彼女の国、古代エチオピア王国の海岸に、連日、ティアマトという
化けくじらを送りこみ、津波を起こしては人々を苦しめたのです。ケフェウス王は、どうすれば
ポセイドンの怒りを鎮めることができるかと神様に伺いをたてました。すると「アンドロメダを
海の怪物化けくじらの生贄に捧げよ」とのお告げがありました。ケフェウス王は海神ポセイドンの
怒りを鎮めて国を救うために仕方なく、アンドロメダ姫を海岸の岩場に鎖でつなぎました。
そんなアンドロメダ姫を化けくじらが見つけ、姫を襲おうと近づいてきたそのとき、天馬ペガススに
またがった英雄ペルセウスが、天空から駆け下りてきたのです。ペルセウスは怪物メドゥーサを退治して
帰るその途中、このかわいそうなアンドロメダ姫を見かけたのです。メドゥーサというのは髪の毛の
1房1房がうごめく蛇、その顔を見た者は誰でも石になってしまうという恐ろしい怪物です。
ペルセウスがその怪物メドゥーサの首を切り落としたとき、その首からほとばしり出た血が近くの岩に染み、
そこから銀色の翼を持った白馬、天馬ペガススが現れたのです。ペルセウスは討ち取ったメドゥーサの首を
革袋に入れると、ペガススにまたがって空へと上がり、そして、天空を駆けて、お母さんの待つ島へと
帰るその途中でした。今、アンドロメダ姫を助けようと天空から駆け下りてきたペルセウスは、
化けくじらが姫を一飲みにしようと大きく口を開けたその目の前に、革袋から取り出したメドゥーサの
首を突きつけました。怪物メドゥーサの顔を見た化けくじらは、たちまち石になって、海へと沈んで
いきました。
ペルセウスは、助けたアンドロメダ姫と結婚し、二人は末永く幸せに暮らして、たくさんの子孫を残しました。
あの怪力ヘラクレスも彼らの子孫です。
ところで、秋の夜空の1等星は、みなみのうお座のフォーマルハウト1つだけ。と、明るい星の少ない
秋の夜空ですが、実はここには、今お話しした物語の登場人物が、皆、隠れているのです。
まずは王妃カシオペア。「W」の字の形をしたカシオペア座。秋の夜空で最も見つけやすい星座ではないで
しょうか。そして、そのお隣りの、とんがり屋根の家みたいな星座がケフェウス座。アンドロメダ姫の
お父さん、古代エチオピア王国の王様です。そして、カシオペア座の近くにある、「A」の字のような
形の星の並びがアンドロメダ座。この国王御夫妻の一人娘、アンドロメダ姫です。なんと、家族そろって
星座になっているのですね。
それから、明るい星の少ない秋の夜空でもう1つ見つけやすい星の並びは秋の四辺形。
これ、ペガスス座のペガススの胴体。この四角形はペガススの四辺形とも呼ばれます。
そして、このペガススの四辺形の北東隅の星は、アンドロメダ座で1番明るい星、アンドロメダ座の
アルファ星でもあるのです。つまり、この星でペガスス座とアンドロメダ座はつながっているのです。
そしてさらにカシオペア座のとなり、アンドロメダ座の足先あたりにある、「人」という字のような星の
並びが英雄ペルセウスのペルセウス座。そして、ペガススの四辺形の東の辺を南にたどった先には
化けくじらのくじら座があります。
つまりここには、姫を助けたペルセウスも、姫を襲った化けくじらもいるのです。しかもペルセウスは
右手に剣を、左手にメドゥーサの首を持っています。
と、このように、秋の夜空にはアンドロメダ姫の物語の登場人物が勢揃いなのです。
明るい星の少ない秋の夜空ですが、カシオペア座やペガススの四辺形から、このアンドロメダ姫の物語を思い浮かべつつ眺めてみてください。
では今日の星物語のご紹介はここまでです。
著:Shiba
(c)さいたまプラネタリウムクリエイト 2025
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